聴覚系入門Ⅰ~内耳発生初期に見る進化~
序論
聴覚は多くの動物にみられる重要な感覚である。
顎から耳小骨が生じてきたという話―Reichert説―は進化学的に有名な話ではあるが、その説明に関してはここでは省かせて頂く。何故ならそれは哺乳類の進化を扱う上で最も重要なテーマの一つでここで扱うにはあまりに重い問題だからだ(単に私が不勉強なので書きにくいということかもしれないが)
そこで今回は敢て哺乳類以外の聴覚系の進化・発生について取り上げてみたいと思う(グダグダなところもありますが、そこはブログだからということで勘弁してください)
本論
そもそも、耳は外耳・中耳・内耳に分けられるが、このうち内耳は聴板(耳陥)から生じてくる。これが陥入することで嚢状構造に変化し、耳胞となる。
耳胞は内耳の最も本質的な部分、迷路をつくる原基であり(あの小学生や中学生で習う半規管とかうずまき管(蝸牛)と呼称される部位が内耳である)
ちなみに聴板だが、この段階ですでに脊椎動物間で発生様式が異なることで知られている。
以下にその相違点をまとめる。
プラコード:バイオキーワード集|実験医学online:羊土社
羊膜類と無尾目のの発生様式が異なるのは恐らく細胞接着因子が絡んでいるのだろう。
ちなみに余談だが、実際の無尾目のこの時期における切片画像を見てみると(インターネット上に画像を見つけられなかった。申し訳ない)実に綺麗に感覚層のみが被蓋層と分離して耳胞ができてくることが分かるのだが、この発生様式が祖先形質なのかはわからない
というか耳自体が素人目から見ても各分類群で特殊化しまくっているのでそれを確かめるのは至難の業だろう。
しかし、個人的には羊膜類が祖先形質のような気がしてならない。何故なら多くの器官形成に見られるように、耳陥の発生に関わっている細胞接着因子などの分子は神経管などから『転用』されているだろうから感覚層のみが陥入している無尾目が特殊であると考えられるからである。
ただ、この耳陥形成にはホメオボックスであるSix1が関与しているらしいのでこの遺伝子のエンハンサー構造を種間で比較すればこの辺に関して何らかの理解が得られると考えられる。あるいはアフリカツメガエルのエンハンサーをマウスに組み込んでやるとか、あるいはその逆をしてみるとか。面白そうだ。
またこの過程では確かに組織学的な相違はあるが、耳プラコードの誘導にはWntやFGFの関与がマウス、ニワトリ、ゼブラフイッシュで確認されているらしい。
File:Rugh 126.jpg - Embryology
では今回はこの辺で(短っ)
というかウェーバー器官とか側線神経とかにも触れたかったのだが...トホホ
あと詳しくないし全然知らない癖してエラソーなタイトルつけて申し訳ございませんでした。
(自分のネーミングセンスの無さに泣けてくる)
続きはまたいつかします。
拙文失礼しました。
また誤字脱字等々何かご指摘いただければ幸いです。
それではこれで。
参考文献
『パリンスキー発生学』
著者
林雄二郎
出版
『最新カラー組織学』
著者
ガートナー,L.P.、 ハイアット,J.L
監訳
石村和敬
井上貴央
出版社: 西村書店